放射能除染において圧力洗浄機を使用することの問題点

                     2011年7月15日 山田國廣作成
放射能除染において圧力洗浄機を使用することの問題点
福島県が助成して県内の市町村で実施する除染に関して、高圧水を放水して放射能の一部を除去するため圧力洗浄機を使用することが報道されている。この方法にはさまざまな問題点があり、町内会単位でなされるような住民による除染には使用してはいけない。私たちは、別資料に示すような代替の除染方法を提案する。
屋根、壁、コンクリート、アスファルトなど比較的固い表面にへばりついた放射能(多くはセシウム134,セシウム137が中心である)を洗浄する場合について問題点を分類して指摘する。
1. 圧力洗浄機放水によって除去された放射能は、水の中に溶け込み混合して移動して場所を変えて新たな汚染場所を生み出すだけであり除染したことにはならない。
圧力洗浄機の放水によって屋根、壁、コンクリートにへばり付いた放射能の一部は
除去される可能性はある。しかし、除去された放射能は水に溶けて移動し、建物近くの土壌や側溝に流れ出し、滞留して新たな汚染場所を生じる。
このような圧力洗浄を各家庭で実施した場合、隣近所への放射能汚染の押し付け合いになり「自分のところさえきれいになればいい」という身勝手な行動が、県によって公認されることになる。これは、住民間に不信をもたらし混乱のもとになる。
すでに、これまでの雨によって除去された放射能は田畑、下水道を通じて川へ流れ出し、一部は海の汚染物となって魚や海底に蓄積し始めている。阿武隈川でとれるアユ、ヤマメ、ウグイ、イワナからセシウムが高濃度で検出されている。海底にもホットスポットがではじめている。福島県全域で圧力染徐がはじまれば、これまでの汚染に加えて助長することになり、漁民だけでなく、近隣国からの国際的非難も生じるものと思われる。

2.圧力洗浄は放射能除染のチャンス(情報)を失くしてしまう。
①福島県の担当者がテレビで「圧力洗浄は、雨で放射能が流されていくのと同じこと」と談話していたが、これは大きな間違いである。確かに雨で流されることは防止できない。これは自然現象であり「仕方ない」のである。一方で、圧力洗浄の場合は、事前測定によって「そこに放射能がへばり付いている」という情報があり、適切に剥ぎ取って除去すれば除染できる。
②ホットスポットが見つかるということは、「そこに放射能が固まって存在する」という情報が得られたわけで、効果的に除染するチャンスが得られたことになる。圧力洗浄をそのチャンスを失くすことに繋がる。

3.屋根やコンクリートにへばりついているセシウムは、圧力洗浄で一部しか除去できない。
①セシウムには「水に溶けて流れ出す」という面と、「土や屋根材にへばりたら、なかなか取れない」という2面性がある。すでに、放射能雲が雨によって福島市などの土壌、構造物に固着されてから4カ月が経過し、雨によっては除去できないセシウムが残っている。そのため、圧力洗浄のみでは、材質表面からは一部のセシウムしか除去できない。
②このように、しつこくへばり付いているセシウムを、無理やり除去するためには、大量の水が必要となり、それだけ低レベル汚染水ができてしまう。
③一部しか取れないことを認識していない住民は、圧力洗浄で十分除去されると誤解し、
安心してしまって被曝が続くことになる。

4.砂、土壌にへばりついた放射能を圧力洗浄する場合の問題点
①砂や土の表面にへばりつたセシウムは、圧力水では除去されず、砂や土そのものが移動するだけである。側溝などを、圧力洗浄すれば、この場合も放射能で汚染された砂、土が移動するだけで、新たな汚染場所を生み出すだけである。

5.汚染者負担原則により、除染された放射性物質は東京電力が引き取る責任がある。圧力洗浄は、東京電力の責任をわからなくしてしまうことになる。

6.集団被曝線量の考え方では、集団被曝線量=一人の被曝線量×被曝人口という式で与えられる。この式では、圧力洗浄によって、一人当たりの被曝量を少なくすることになるが、放射能を薄められて拡散するため被曝人口が増え、集団被曝線量は変わらないことになる。除染においては「放射能は薄めてはいけない」ということになる。

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