子ども被災者支援法:対象外自治体が批判意見

原発事故の被災者を守る最後の砦と言われていた「原発事故子ども被災者支援法」は1円の予算もつけられず1年以上の時間が過ぎましたが、やっと示された基本方針の中身が被災者を救う、という目的には程遠い内容になっています。

当事者である宮城県からは丸森町議会が支援法基本方針案に対し意見書提出を決議した以外に、積極的な動きは無かったようです。危機意識や問題意識の違いが現れているようで残念です。

以下、毎日新聞からの転載です。


東日本大震災:被災者支援法、対象外自治体が批判意見 「切り捨て」住民切実 放射線、健康不安抱え

毎日新聞 2013年09月24日 東京朝刊

 復興庁が実施した「子ども・被災者生活支援法」の基本方針案を巡るパブリックコメント(意見公募手続き)には、当初の期限だった13日までだけでも千数百件の意見が集まり、その後も増え続けた。自治体にも多数の住民の声が寄せられ「支援法の対象に、という要望が特に強かった」(千葉県野田市)という。自治体による異例の意見応募の背景には「支援法から切り捨てられる」という対象外の住民の切実な焦りがある。【日野行介、袴田貴行】

千葉県鎌ケ谷市の主婦(40)は23日、線量が年間1ミリシーベルトを上回る地域を支援法の対象に含めてほしいとの意見をメールで復興庁に出した。5年前に念願のマイホームを購入。市内の線量は年間1ミリシーベルトを上回り、国から「汚染状況重点調査地域」に指定されている。

5歳の長女の健康に不安を抱き、支援法の対象になれば被ばくに対応した健康診断を受けられると期待した。市民集会などで同庁担当者に意見を伝えたが、先月30日に公表された案を見て「全く反映されていない」と肩を落とした。「なぜ支援対象に入らないのか疑問です」

同庁が今月13日、急きょ東京都内で開いた基本方針案の説明会。千葉県松戸市の女性は「市は政府も認めたホットスポットだ。除染した地域が支援対象から外れる整合性を説明してほしい」と迫った。地方議員らが19日に都内で開いた同庁との交渉でも同様の声が相次いだ。

こうした批判や疑問に、復興庁は「自主避難者の数や避難指示区域への近さなどさまざまな事情を総合的に判断した」と繰り返し、平行線をたどった。

 ◇「秘密体質」に不信感

パブリックコメントで、自治体から異例の突き上げを受ける事態となった復興庁。批判の矛先は案の中身だけでなく、元幹部のツイッターによる暴言問題を機に浮かんだ秘密体質にまで及んでいる。

復興庁は子ども・被災者生活支援法の基本方針案を検討するため、内閣府原子力被災者生活支援チームや環境省などと協議してきた。この関係省庁会議では議事録が作られていないことが判明。同庁は会議の存在すらこれまで明らかにせず、方針案がまとまった過程は今も闇の中にある。千葉県柏市などは「検討経過を明確にせよ」との意見を出した。

公募のやり方にも疑問の声が上がる。実施の要領を定める行政手続法は意見を募る期間を原則30日以上と規定。ところが、復興庁は基本方針案公表の8月30日から9月13日まで15日間とし、「短すぎる」などとの批判を受けて同23日まで10日間延長した。同庁はこれまでの取材に対し、期間延長の理由を明らかにしていない。

同県白井市は「支援施策の検討に当たっては被災者にとって透明性の高いものとするよう規定した支援法に基づき、広く被災者の意見を反映すべきだ」との見解を盛り込み、密室協議で支援法の内容を決めることがないようくぎを刺している。

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■ことば

 ◇復興庁幹部の暴言ツイッター問題

復興庁で「子ども・被災者生活支援法」を担当していた参事官(当時)が昨年8月の着任以降、同法の推進を求める国会議員や市民団体などを中傷するツイートを繰り返していた問題。今年6月に毎日新聞の報道で発覚し、同庁は参事官を更迭した。

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 ◇自治体が提出した主な意見

□年間放射線量が1ミリシーベルト以上の地域は全て支援対象にすべきだ(千葉県野田市、鎌ケ谷市、我孫子市)

□支援対象地域と準支援対象地域に分けるべきではない(栃木県那須塩原市、茨城県守谷市、常総市)

□支援対象地域と準支援対象地域を分ける場合は基準の線量を明確にすべきだ(茨城県取手市)

□支援策の検討では被災者の意見を反映し、過程を透明性の高いものに(千葉県柏市、白井市)

□支援対象地域外でも子どもや妊婦に配慮を(千葉県松戸市、印西市)

□福島県外でも被災者の健康不安が早く解消されるよう、健康影響調査、医療提供の対象地域の指定を(千葉県佐倉市)

□千葉県内の9市が支援対象地域に含まれていないのは残念だ(千葉県流山市)


東日本大震災:福島第1原発事故 被災者支援法、13市が異例の批判 「福島限定、不公平」−−意見公募

毎日新聞 2013年09月24日 東京朝刊

 東京電力福島第1原発事故に対応する「子ども・被災者生活支援法」で、支援対象地域を福島県内に限定する基本方針案を示した復興庁に対し、対象から外れた千葉、茨城、栃木3県の少なくとも13の市が23日締め切られた「パブリックコメント」(意見公募手続き)に批判の意見書を寄せた。こうした自治体の対応は異例。背景には「福島限定」への不公平感がにじみ、「地域による画一的な線引きは法律の理念に反する」(千葉県白井市)と方針案を真正面から否定する指摘もある。

昨年6月成立した同法は年間累積放射線量が一定基準以上の地域を支援対象とし、必要な支援策を盛り込んだ基本方針を定めると規定。これに対し、復興庁の方針案は、線量基準を設けないまま福島県東半分の33市町村を支援対象地域としただけで、原案で示された同県の西半分や近隣県を含む「準支援対象地域」の範囲や支援内容は未定だ。

同庁は方針案を公表した先月30日から意見を公募。毎日新聞が自治体のホームページなどで確認したところ、千葉県の▽野田市▽柏市▽鎌ケ谷市▽松戸市▽白井市▽流山市▽佐倉市▽我孫子市▽印西市、茨城県の▽取手市▽守谷市▽常総市、栃木県の那須塩原市−−の13市が意見を出した。

国は一般人の被ばく線量の上限を年間1ミリシーベルト(毎時0・23マイクロシーベルト)と規定。原発事故後にこの数値以上となった地域(市町村)は除染に関する法律で「汚染状況重点調査地域」に指定し、財政支援している。現在8県の100市町村が指定され、13市も含まれている。

13市の意見書はいずれも子どもや妊婦の健康支援を重視するよう求め、除染の法律と支援法の「ダブルスタンダード」には批判的な立場。我孫子市などが「汚染状況重点調査地域は支援対象にすべきだ」と主張している。国民からの意見公募は、法令や制度の制定・改廃時に行われるが、自治体から批判が集中するのは珍しいという。【日野行介、袴田貴行】


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