放射能汚染廃棄物の本焼却中止を求める申し入れ

放射能汚染廃棄物の本焼却による健康被害から子どもと住民を守るため、去る4月24日、仙南地域広域行政事務組合に対し別添の申し入れを行いました。


平成31年4月24日
仙南地域広域行政事務組合
理事長 滝口 茂 殿

放射能汚染廃棄物の焼却に反対する仙南の会

会長 長谷川 進

放射能汚染廃棄物の本焼却中止を求める申し入れ
(申し入れ理由)
平成28年11月3日、村井知事が市町村長会議で福島第一原発事故由来の放射能汚染棄物36000トン(8000㏃/㎏以下)を一斉に焼却(一般廃棄物と混焼)することを提案して以降、当会は、貴組合に対して、放射能汚染から子どもや住民を守るための様々な申し入れをしてきました。
しかし、納得できる回答は示されず、しかも住民が反対する中、昨年3月~11月にかけて試験焼却が実施されました。そして、本年3月16日に仙南クリーンセンターにおいて組合と仙南2市7町による住民説明会が開かれ、多くの反対意見が出る中で、「試験焼却は、問題なかった」ことが宣言され、これを根拠に5月から放射能汚染廃棄物7200トン(8000㏃/㎏以下)の本焼却が強行されようとしております。
もし、これが実施された場合、焼却炉から漏れ出る放射性セシウムは、更に増加・拡散し、これを呼吸する子どもや住民が内部被ばくし、健康被害のリスクが高まることは明白です。
また、焼却により放射能汚染物質が一層濃縮された焼却灰を搬入・集積する仙南最終処分場周辺の住民は、空気、河川、地下水、土壌汚染による健康被害や環境被害、風評被害発生のリスクが更に高まるおそれがあります。
したがって、当会は、このような危険な本焼却は絶対に認められないので、直ちに中止することを求めます。

(申し入れ内容)
1 地方自治法第2条では、「住民の福祉」が明記されております。放射能汚染廃棄物の焼却による健康被害問題は、まさに、この条項に関わる典型的な事案であり、自治体の長は「住民の福祉」を守る使命に立ち、この問題を第一義的に取り組む責務があります。
また、憲法第92条では、「自治の本旨」が明記され、「住民の健康被害」に関わるような大事な問題については、住民の意思を尊重し、住民の理解を得ながら取り組むべきとされており、自治体の長は、これに踏まえる責務があります。にもかかわらず、貴組合は、多くの住民が放射能汚染廃棄物の焼却による健康被害を懸念し、反対しているのに、これを無視し、理事会において試験焼却や本焼却の実施を決定してきました。
このようなやり方は、住民の反対を踏みにじり、住民との話し合いを通じた自治の民主主義を否定するものであり、絶対に容認できません。
したがって、5月から実施される本焼却は、中止・撤回すべきと考えますが、貴組合の見解を求めます。

2 稲わらや牧草、ほだ木等に固定されている放射性セシウムは、高温で焼いても、埋め立てても無くならず、減ることもありません。
したがって、そのまま隔離保管する方が、拡散を防止し健康被害や環境汚染を防げます。そのため、放射能汚染廃棄物の処理は「隔離保管」が原則なのです。
にもかかわらず、貴組合は、放射能汚染廃棄物をわざわざ燃やして、放射性セシウムを環境中にばらまき、2度と回収することが不可能な最悪の方法を選択しており、当会として、これを絶対に認められません。
したがって、貴組合が、5月から行う本焼却を中止し、放射能汚染廃棄物の処理方法を「隔離保管」に転換するよう求めますので、見解を明らかにされたい。

3 貴組合は、放射能汚染廃棄物の焼却を実施するにあたり、環境に与える影響はどのようなものかを事前に調査、予測、評価する環境アセスメントを実施すべきですが、未だに行っておりません。
したがって、環境アセスメントのデータが無いため、放射能汚染廃棄物の焼却が、環境や住民に対してどのような影響と被害を与えるのかを想定・予測することが出来ないにもかかわらず、5月から本焼却を実施することは絶
対反対ですので、貴組合の見解を求めます。

4 昨年5月30日、当会が、貴組合に対して申し入れ書を提出した際、参加者から「異常時対応マニュアルは、住民の安全を守る上で不可欠ですが、組合に在るのか」という趣旨の質問がなされ、出席していた組合の助役と業務課長から「ない」という回答がありました。
その後、貴組合は、住民説明会で、「モニタリングポスト(MP)要監視基準値超過表示時における対応方針」に基き対処することを説明しました。
しかし、これは、MP問題に限定された対応に過ぎず、異常時対応としては不十分といえます。当会としては、MPの他、地震、火災による非常事態、バグフィルター損傷による放射性物質の異常漏出と避難対策、故障や損傷等による電源喪失、建屋損壊、敷地法面崩壊及びその他の災害に対応可能な総合的「異常時対応マニュアル」が必要と考えており、これが具備されない下での本焼却実施は反対ですので、見解を求めます。
尚、既に作成済みの場合、当会として検討いたしますので、全文のコピー提供を求めます。未だ作成されていない場合は、理由を明らかにされたい。

5 貴組合は、住民説明会において、5月から実施する本焼却では、放射能汚染廃棄物を1日最大10トンずつ一般ごみと混焼すること。その事による問題は無いこと。焼却期間は3年10ケ月になる事を明らかにしました。
しかし、試験焼却時の焼却量は1日1トンであったため、1日最大10トンの焼却を安全に行う事を保証する経験も、検証データもありません。
にもかかわらず、1日最大10トンの放射能汚染廃棄物の焼却を実施し、その下に住民を晒すことは、住民を動物実験扱いするに等しく、絶対に認められません。
したがって、5月から実施する本焼却は、絶対反対ですので、貴組合の見解を求めます。

6 貴組合は「試験焼却の結果、空間線量は基準値の0,23μ㏜/h以内であり、問題が無い」と主張しております。
しかし、内部被曝の場合、0,23μ㏜/h以内であっても影響があるので、被曝を避ける必要があります。特に子どもは、放射線に対する感受性が強く、大人の10倍もの活発な細胞分裂をするので、放射線の影響を受けやすく、放射線障害発症のリスクが高いといわれております。
低線量被曝に関する国際的な定説でも「放射線は、少なければ、少ないなりに影響がある」「放射線には、これ以上が危険でこれ以下が安全とする閾値が無い」となっております。
また、沢田昭二氏(元名古屋大学理学研究科教授)の論文「放射線による内部被曝」では「1㎛の微粒子でも、原理的には、数百億個の放射性原子を含むこともありうるので、微粒子が沈着した周辺の細胞は大量の被曝を継続して・・」とあり、焼却により拡散した排ガス中のセシウムを含む微粒子を呼吸する怖さを示唆しております。
したがって、貴組合及び環境省は、「空間線量が、0,23μ㏜/h以内であり問題が無い」と主張されるのであれば、その内容を、外部被曝と内部被曝の両面から説明し、その根拠を科学的・医学的に明らかにされたい。

7 環境省は、モニタリングポスト異常値表示の原因を「モニタリングポスト内部に設置する通信機器からの電波ノイズが影響した可能性が高い」として事実上断定しました。
そして、異常値を表示したモニタリングポスト測定データの健全性調査を行った結果「異常値以外の測定データは、健全であり問題無かった」として試験焼却の正規データにすることを表明しました。
しかし、大いに疑問があります。その理由の第1は、3時間30分に亘って異常値を表示したモニタリングポスト(東方交差点付近設置)の測定値を「ノイズによる異常値」として除外したため、その時間帯の測定データ記録が無いこと。第2は、モニタリングポストの検出器(35個)を取り換えた際の1個当たり取り換え作業所要時間50分間が、測定データ記録の無い空白時間になっていること。第3は、試験焼却期間の途中でモニタリングポストの検出器を取り換えたため、それ以前と以後の測定が別々の検出器で行われたこと等から、得られた測定データは、連続性が切断され、空白や継ぎ接ぎのある欠陥データと言えます。
以上の事から、このデータは「試験焼却期間中の放射線の変動や推移」を連続的に監視・測定・記録した正規のデータとして扱うには、あまりにも問題が多い失敗作であり、廃棄すべきです。
したがって、このような「信頼性の無い、適格性を欠いた測定データ」を根拠に、5月から本焼却を実施することは絶対反対ですので、貴組合と環境省の見解を求めます。

8 貴組合は、住民説明会資料に、仙南クリーンセンター、仙南最終処分場の他、8箇所設置のモニタリングポスト空間線量率を表にして説明しています。
この表の目的は、試験焼却第1~第6クール期間内の最大値と最小値を拾って「基準値の0,23μ㏜/h以内なので安心」を強調するために作成されたものと解されますが、よく見ると大きな問題が隠されております。
即ちこの表は、最も重要な「排ガス中のセシウムを含む放射性物質の漏出」と「時間経過における空間線量率の変動・推移」を読み取れないようにし、分からないようにするための役割を負う表になっていることです。
したがって、当会は、このような表を根拠に安全を語り、本焼却を実施することは、絶対反対です。速やかに「時間経過における空間線量率の変動・推移」を表すグラフを作成・公表することを求めます。

9 当会は、昨年10月30日の申し入れの「2 仙南クリーンセンター周辺のモニタリングポストの放射線量率が増加傾向にあるので、直ちに原因を調査し、その結果を住民に明らかにすべき」を別紙1、2,3,4(草野清信氏 研究論文 日本科学者会議宮城支部)を添えて提出し見解を求めました。
しかし、貴組合は、回答(別紙1参照)の中で「モニタリングポストは、環境省が設置、管理しているので、変動の要因は、同省が調査し、その結果を踏まえて対応する」なる旨を述べ、未だに回答しておりません。
したがって、当会は、貴組合が、環境省に対して、速やかに回答するよう責任をもって対処することを求めます。

10 仙南クリーンセンター西側の土壌測定値は、試験焼却前が56.9㏃/㎏で、試験焼却後が153.0㏃/㎏あり、約2,7倍上昇しました。
貴組合は、この原因について「試験焼却によるものではなく、元々の土壌に含まれる放射性セシウムであると推察した」と述べております。
しかし、上記は、科学的な調査や検証の裏付けもなく「推察」し、「事実上の断定」がなされており、到底容認できません。
したがって、貴組合は、
① 仙南CCを囲む山や谷による地形と気象条件の下で、排煙中の煤塵(放射性セシウム含む)が降下する際の動態・特性を調査・解明されたい。
また、何故、試験焼却後の測定値が、試験焼却前の測定値の約2,7倍上昇したのか、その原因を科学的根拠に基き明らかにされたい。
② 敷地境界の東西南北から土を採取し、ゲルマニウム半導体検出器で測定・分析・比較・検証し、その結果を明らかにされたい。
③ 平成24年1月の生活影響環境調査時に測定した場所と、西側の測定場所が一致していることを、GPS測定を基に証明されたい。

11 貴組合は、「バグフィルターは、放射能汚染廃棄物中のセシウムを99.9%除去できるので安全」と説明しております。
しかし、住民は、仙南クリーンセンターのバグフィルターは「本当に、セシウムを99.9%除去出来るのか」「本当に、安全なのか」と疑っています。
したがって、貴組合は、
① 仙南クリーンセンターのバグフィルターが、間違いなく「放射能汚染廃棄物中のセシウムを99.9%除去」出来ることを証明するため、現機のバグフィルターの前後において、放射性セシウムの濃度測定を行い、それを基にした「物質収支」を明確にし、実証することを求めます。
② バグフィルターは、表面に粉塵が付着し、フィルタの目を詰まらせることによって本来のフィルタの目より細かいものを捕捉すること。稼働中に目詰まりするため、エヤパルスによる払い落しで目詰まりを取り除くこと。その直後は、必ず飛灰の捕捉率が落ちること等が示すように、バグフィルターには、高捕捉率で稼働する時間と捕捉率が低下する時間があり、これを繰り返えして稼働しております。そのため、「全稼働時間を通じて99.9%の捕捉率を保持する」ことは、理論的・構造的に無理なのです。
したがって、貴組合は、このことに対する見解を明らかにされたい。
また、「バグフィルターで、放射能汚染廃棄物中のセシウムを、99.9%除去できる」とするこれまでの主張を改め、5月実施の本焼却を中止するよう求めますので、見解を明らかにされたい。

12 仙南最終処分場には、今後、大量の放射能汚染焼却灰が運ばれ、集中して埋め立てられるので、周辺住民の健康被害や環境汚染が現実になる虞があります。このような危険な本焼却は、絶対容認できません。
したがって、貴組合は、以下に対応されるよう求めます。
① 仙南最終処分場は、岩切場の跡地に造られたと聞きますが、建設時にボウリング等による地質調査をどのように行ったのか。また、底部の亀裂等から汚染水が侵入して地下水を汚染することを防ぐため、どのように工事し対処したのか、記録を基に明らかにされたい。
② 処分場の底部、側面等の全面に施設した遮水シートの厚さは何cmか。
材質は何か。どのように接着したのか。セシウムの半減期以上の長期間に耐えられるのか、メーカーの仕様書を基に明らかにされたい。
また、処分場上面の遮水シートについても同様に明らかにされたい。
更に、経年劣化による損傷、水漏れ等の実態及び日常の点検方法を明らかにされたい。
③ 処分場が未発見の断層上に立地していないか。大地震で新たな亀裂が発生しなかったか。また、埋め立て物の重量による不均等沈下、地震による応力で遮水シートがずれ、捻じれて接着部が剥がれ、そこから浸出水が漏出して地下水や河川を汚染していないか等を、超音波診断や人工衛星撮影による診断等、あらゆる方法で実態を確認されたい。
④ 処分場の底部までの深さ、東西南北側面までの距離等、全体の広さがどれくらいあるのか。また、処分場の第1、第2、第3区画がいつ造られ、どのような物がいつ運ばれ埋め立てられたのか。区画の仕切りは、どのように施行されたのか等、記録を基に明らかにされたい。
⑤ これまでの説明では、覆蓋施設の強度や耐用年数が不明です。また、「覆蓋施設の窓を開けたまま作業している」ことを目撃した報告があり掘り起こしや埋め立て時の汚染灰の拡散と放射能漏れが懸念されます。
更に覆蓋施設内の地面から低部まで深く掘れるのか。「ガイドライン」通りの埋め立てが可能なのか疑問があるので、実態を明らかにされたい。
⑥ 貴組合は、「環境管理基準を超過しない受け入れ可能量」を「推計」し試験焼却で8000㏃/㎏1トン焼却の測定値が、最大826㏃/㎏だから、10分の1の800㏃/㎏1トンを燃やしても、測定値は82㏃/㎏なので、10トン燃やしても820㏃/㎏であり可能だとしました。
しかし、この「推計値」は、検証の無い希望的観測に過ぎず、到底容認できませんので、「推計値」の詳細内容と意図を明確にされたい。
⑦ 本焼却による全放射能が集まる処分場から、浸出水が漏出することは、周辺住民や環境に深刻な影響を与えます。特に塩化セシウムは、水に溶け易いので、異常値発生を早めに発見し、住民の安全を守る必要があります。そのため、連続的な浸出水モニタリングが不可欠ですが、見解を求めます。
⑧ 上記⑦の「連続的な浸出水モニタリング」を具体化するため、処分場底部に溜まった浸出水の検知・測定装置を速やかに設置し運用するよう求めます。また、底部の遮水シートの損傷や隙間から漏出する浸出水の検知・測定装置を、処分場の周り複数個所に設置されたい。
以上の申し入れ内容に対し、貴組合が、本焼却前に回答されるよう求めます。

以上
(回答期限と方法)
1 回答は、令和元年5月上旬までにお願いいたします。
2 回答は、申し入れ毎に、漏れなく、書面をもってお願いいたします。
3 郵送は、下記住所まで、会長(長谷川)宛てにお願いいたします。
住所 989-1201 大河原町大谷字見城前57-22
放射能汚染廃棄物の焼却に反対する仙南の会
会長 長谷川 進

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